*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



一切のムダがないしなやかな動き。

すぐに他のヤツとはレベルが違うと分かった。

「……ッ!?」

男の繰り出した拳がオレの左頬をかすめた。スピードも桁違いだ。まともに喰らったら倒れていたかもしれない。

死圀にこんな強いヤツいたのか!?
今ケンカどころじゃねェのにッ‼

左足で脇腹に蹴りを入れたが、同時に相手の肘がオレのアゴに当たる。口が切れて、血の味が広がった。

男の両腕に襟首を掴まれた。

「……テメェ何者だ!?」

相手はフルフェイスのヘルメットを頭からすっぽり被ってる。そのせいで表情どころか顔も全く見えない。

「……」

男の股間を繰り上げようとしたが、その直前で男が囁いた。

「………………ラギ、落ち着けッ」

「アアアァッ!?」

「静かにしろ。……………………"オレ"だ」

「…………!?」
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