*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
タカシはようやく振りむいた。
「この裏だ」
立てた親指で示したのはコンクリ製の建物。
税金がガッポリ注ぎ込まれたのか、ムダにオシャレでモダンな作りのトイレ。
確かにこの裏なら河川敷でケンカしてるヤツらからは、完全な死角になる。
「ほら、上手くいったろ?」
トイレの裏まで来ると、そう言いながらタカシは被っていたヘルメットを脱いだ。
わずかな月明かりが、見慣れたその顔を照らし出す。
オレと目が合うと、タカシは不敵に微笑したが、こっちはわけが分からない。
「…………何が上手くいっ……………ッ」
反駁してやろうと勢いよく口を開いたが、言葉は途中で途切れてしまった。