*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*


「新聞ならいらん───」

ドアが開くと同時に、"不機嫌"って言葉を絵にかいた口調と表情で、髪を掻きながら顔を覗かせたのは茜本人だ。

だが、すぐオレだと気づくと、茜はただでも大きな瞳を限界まで見開いて硬直した。

「………………エ!?エエエッ!?何でお前がここに──」

まるで幽霊か妖怪でも見た顔。
茜はそれくらい一瞬で青ざめた。

「エじゃねーーよッ‼オレが何で来たか分かるよなッ!?」

オレが詰め寄ると、咄嗟に茜はドアを閉めようとしたが、すかさず隙間に足をねじ込む。

「なんでウチを…」

「千歳だよ‼千歳返せッ‼」

「……………………ッ!?」

ドアを閉めようとする茜の手が、ビクリと震えたのが分かる。

「………………千歳がどォかしたん?」
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