*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
孤高の総長
*side 竜憧 柊*
金曜、夕方6時。
昼と夜とが入り交じる時間。落ちそうで落ちない初夏の太陽に照らされ、街も人も浮き足立っていた。
しかし時計の針が時を刻むに伴い、太陽は確実にその力を失って、やがて夜がその支配を増してゆく。
ここは、とある国道沿いにあるガソリンスタンド。
しかし遠の昔に潰れて放置されている。
建物はほぼ廃墟と言っても差し支えない。スプレーの落書きだらけで、ガラスも割られ、雑草生い茂って荒れ放題の状態だ。
だがここは県内にいくつかある"魔陀羅"の縄張りのひとつ。
今ここにいるのはオレを含め5人。
みな魔陀羅のメンバー、しかも中心的地位にいる者ばかり。
「"ラギさん"」
魔陀羅No.3の男がオレに話しかけた。
オレはコイツらからは、竜憧ではなく、"ラギ"と呼ばれている。
「そろそろ時間です」
今夜は久しぶりにデカい集会がある。
集まるのは下っぱの連中ではなく、魔陀羅の中枢をなすメンバーや、傘下のチームのリーダークラスだ。