*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
茜に染まった西の空を見あげると、森へ向かって数羽のカラスが群れをなし帰っていった。
「…………」
オレは俯いて、雑草生い茂るコンクリにしゃがみこんだ。
「ラギさん?具合でも悪いんですか?」
「慣れない勉強なんかするから体調崩したんじゃないっすか?」
そう笑いながら、No.4もオレに寄ってくる。
確かにそれは否定できない。内心そう思って、無言でその男を見ると、睨まれたと勘違いしたのか慌てて萎縮した。
「す……すいませんッッ!ほんの冗談ですッッ!」
一瞬で顔が真っ青。
「…………」
別にンなことで怒んねーから、謝らなくていいよ。
と、また心のなかで答える。
オレは転入した学校には秘密にしているが、約2年ほど前から"魔陀羅"という暴走族の総長をやっている。
だから3日前、同じクラスの東田千歳にとつぜん、魔陀羅の話をされたときは、心臓が口から飛びでるかと思った。(色んな意味で)