*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
だが声にならない心の叫びは、当然ながらコイツらに届くわけはない。
「どうします?もしラギさんが気乗りしないなら今夜やめますが」
No.3がスマホを取り出した。他の男たちの視線もオレに集まる。
オレの葛藤なんか知るよしもない仲間たちは、みんな硬い表情だ。
「…………」
気乗り?そりゃさすがに今夜は気乗りしねーよ。
リーダーのオレが、今夜は"中止だ"と一言いえばそうなる。それで例え何百人の予定が狂おうと、文句を口にするヤツは一人もいない。
でも…………それじゃ可哀想だろ?
「いや予定通りでいい」
「そうですか?……じゃその方向で進めます」
「なァ、ところでお前ら"士斬(ジキル)"ってチーム知ってるか?」
千歳を思い出したら、そのついでで、あの時"覚えとけ"って怒られたチームのことも思い出した。
しかし、
「さぁ……聞いたことないっスね。ジキルなんて」
「どこのチームですか?」
「オレもよく知らねーけど…」
部下達はそろって首を傾げた。