*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



でもそんなシュールな想像をしてくれてるうちは大丈夫。絶対に竜憧くんのほんとの正体にはたどり着かない。

安心したら、ふと、脳裏にさっきのやり取りが蘇った。



──『一時間……いや、30分で戻る。先に学校行ってて』


あのときの口調だと、彼のなかで仲間を助けに行くことは決まっていたんだ。

もし私が訊ねなくてもきっと仲間の所に飛んでいったと思う。

…………まぁ、仲間を大事にするのはいいことだよね…………。

それにほら、スパイダーマンもスーパーマンも周りには正体秘密だもん。

うん、正義の味方ってそういうもんだよね。

…………"正義の味方"?

でも竜憧くんは、スーパーヒーローでも、ナントカ戦隊でも、国家の秘密警察でもなく、"暴走族"だ。

「…………」

自分を納得させようとしたのに、むしろ墓穴を掘った。


< 408 / 578 >

この作品をシェア

pagetop