*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
SHRが終わって一時間目の現国が始まった。
担当の先生はまだ30代なんだけど、頭頂はだいぶ寂しい。名前は須藤先生。
しかし女子からは"斎藤さん"ってあだ名が付けられてる。先生は意味を分かっていない。
その"斎藤さん"の薄毛が窓から入る微風になびくのを、ぼーっと眺めていると、竜憧くんがやって来た。
壁の時計に目をやる。
ジャスト30分。
戸が開閉した音に、みんなが一瞬振り返った。
でもすぐに無言で前を向く。
うちはわりと自由……いや、だらけた校風だから、遅刻・早退する生徒がいてもほとんど無関心。
それは先生も同じ。
現に授業中の今も、みんなスマホを弄ったり漫画を読んでいるのにほぼ放任状態。
「竜憧……もっと早くこいよ」
斎藤さんは、彼をろくに見ないでボソッとそう呟いた。