*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
竜憧くんは私の隣の自分の席に着くと、無言で軽く私に会釈した。
何かの合図みたいに。
どきっ……として、つられて私も会釈した。
早かったね?
大丈夫?
トラブルってなに?
何してたの?
訊きたいことがたくさん浮かんだけど、なかなか言葉に出来ない。(授業中だからってのはともかく)
彼の世界に首を突っ込む勇気がない。
「解決した?」
でも気になるから、思いきって小声で、当たり障りないことを訊ねると、彼は頷いた。
「うん。ちょっと仲間がオマワリと揉めただけ、楽勝だった」
彼も小さな声で、そう普通にサラッと答えた。
ヒマワリ?
じゃなくてオマワリ……?
えっと、お巡りさんのこと……
「……」
竜憧くんのことは、どんなことでも知りたいし、すごく気になるけど、やっぱり踏み込むには躊躇してしまう部分がある。
すぐ隣にいるのに、たまに異次元の彼方みたいに思うときがある。