*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「……ッ!?」
そのとき彼の頭部めがけて何かが飛んできた。
ぱちんと音がした。
髪に当たって床に落ちたのは輪ゴムだ。
私が呆然としてると、どこからか「キャハハ」って品のない笑い声が聞こえてきた。
すぐ田母神たちだと気づいた。
遅れてきた竜憧くんに輪ゴムを当てたんだ。
竜憧くんの正体を知らない田母神たちは、ずっと彼に目をつけて、事あるごとにネチネチ絡んでくる。
先生も例によって見てみぬふり。
「……ア~イ~ツ~らァ‼」
「いいよ」
頭に来た私が立って文句を言おうとしたけど、すかさず竜憧くんに止められた。
「ほっときな」
小さい声で彼は首を横に振る。
竜憧くんにとって田母神たちなんか、ブンブン煩い小バエか蚊ぐらいの存在なんだろうか。
田母神たち…………もし竜憧くんの正体知ったらどんな顔するんだろう……!?
今、ちょっとだけバラらしてやりたい気持ちになった。