*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*






閉めきっていた初夏のアパートは、ドアを開けたらとたんむっとするような熱気を感じた。

彼の匂いと、微かなタバコの匂いとが混じってる。

「お、おじゃまします。……あ、ああーなんだか暑いね、猫たち大丈夫かな?」

私は緊張を誤魔化すために、ちょっと早口で言って手をうちわのようにパタパタした。

自分でも、とても不自然な口調になってることがわかる。

「何が?」

竜憧くんは、私が言った"大丈夫かな"の意味が分からないらしく、閉めきっていた窓を全開にしながらきょとんとした。

「ほら、暑いから。猫、熱中症とか大丈夫かなぁって」

「ああ、そういうことか。でも猫って寒がりなんじゃないの?」

「さ、寒がりだけど……」

確かに留守番中の猫が、熱中症で運ばれたんて聞いたことはないけど……。
< 417 / 578 >

この作品をシェア

pagetop