*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
*
閉めきっていた初夏のアパートは、ドアを開けたらとたんむっとするような熱気を感じた。
彼の匂いと、微かなタバコの匂いとが混じってる。
「お、おじゃまします。……あ、ああーなんだか暑いね、猫たち大丈夫かな?」
私は緊張を誤魔化すために、ちょっと早口で言って手をうちわのようにパタパタした。
自分でも、とても不自然な口調になってることがわかる。
「何が?」
竜憧くんは、私が言った"大丈夫かな"の意味が分からないらしく、閉めきっていた窓を全開にしながらきょとんとした。
「ほら、暑いから。猫、熱中症とか大丈夫かなぁって」
「ああ、そういうことか。でも猫って寒がりなんじゃないの?」
「さ、寒がりだけど……」
確かに留守番中の猫が、熱中症で運ばれたんて聞いたことはないけど……。