*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「生まれてはじめて作ったの。だから味は保証できないよ?……一応味見はしたけど」
照れくそうに、さらに髪をかきあげる竜憧くん。
「しかもうちって激しく殺風景でしょ?だから椿子がさ、女子が好きそうなおやつくらい用意してなきゃきゃダメだって言うから、じゃないとフラれるよとか脅すから。女子って洒落たデザート好きじゃん?それで……千歳が何好きか知らないけど、まあクッキーくらいなら無難かなあって……」
「…………!」
戸棚を開けながら、いつもよりも早口でベラベラまくし立てた彼に驚いた。
もしかして彼も彼で緊張してるのかな。
もしかして私と同じ気持ち?
しかも、私のためにクッキー作ってくれたんだって知って激しく感動。
それはもう言葉にならないくらい。
「……ありがとう」
彼は私に背を向けたまま手を止めた。
「や…………自分でもね、小麦粉こねながらオレなにやってんだろう?……って思った。……笑ってもいいよ」