*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



「魔陀羅の総長はな、幹部達のなかでも特に別格なんだって。人望ハンパないし、ケンカはガチで強いし、スゲー数のメンバーを束ねるカリスマで、エネルギーの頂点なんだぞ」

「…………?」

"エネルギーの頂点"が、"ヒエラルキーの頂点"の言い間違いだと気づいたのは10秒後だ。

でも小海は自分の言い間違いに気づくことなく、そしてなぜか自慢気に話を続けるから、指摘する気もおこらなかった。

「魔陀羅のメンバーでさえ、幹部以外が話しかけるのは御法度だって噂だから、やすやす近づこうとしたら殺される。マジすげェよな」

どこがだ。聞けば聞くほど嫌悪感しかないわっ!

どんな人間か知らないけど、どうせいつもいつも仲間とつるんで、一人じゃ何も出来ないんでしょ?

だから暴走族なんかやってるんでしょ?

「なんか偉そうでムカつく」

「なぁ千歳、命が惜しければこの街で絶対に魔陀羅の総長の悪口だけは言うな?な、分かった?」

私の思考が伝わったのか、いつもふざけてる小海の目が真剣だ。

「おおげさー」

「いつどこで誰に聞かれるか分かんないだろー?」
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