*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「千歳さんッ!」
突然、誰かの声が道路に響いた。あまりに突然で、それが自分の名前だって気づくのに数秒かかった。
「……ッ!?」
でも小海とは全く違う声。現に小海は驚いて飛び上がってる。
私もびっくりして心臓がギュッと縮んだ。いやビビったんじゃないよ、驚いただけ。
いきなり道路を突っ切って現れたのは、黒のパーカーを羽織って、さらにバンダナで口元を隠してる長身の男。
見るからにただ者じゃない。
「……………………だ、……誰!?」
小海とふたりで息をのんだ。声が上擦る。
「ここで何してんの!?」
男はそう言いながら、サッとバンダナとフードを取った。
その下からあらわれた顔に目を見張る。
「……………………竜憧くん!?」
私服のせいか、学校とはぜんぜん雰囲気は違うけど、間違いなく隣の席の竜憧くんそのひとだ。
「何でここいるの!?」
「そっちこそ何してんの!?」
私たちは向かい合って、ほぼ同時に疑問を叫んだ。