*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



あまりにも突然だから、幻じゃないかと目を疑う。

でも目を擦っても消えない。たったいま、道路の向かい側からすごい勢いで走ってきたらしい。

「竜憧くん家ってこの辺なの?」

「…………違うけど」

「そんな"不良みたいなカッコ"して何してんの?」

「…………ッ」

思ったままを訊くも、彼は唇を噛んだきり答えない。

…………あー、ピンと来た。

もしかして、私と小海みたいに暴走族の集会を見物に来たのかな?

あわよくば魔陀羅とお近づきになりたい的な?

「あのさぁ竜憧くん、暴走族に憧れるのは勝手だけど……」

「ちょっと二人とも!こんなとこにいないで家帰りなよ!」

あきれて嫌みのひとつでも言ってやろうとしたけど、彼は私の話を遮って、変に慌ててる。

「今夜は集会でいろんなヤツら走ってんだよ。なかにはけっこうヤバいヤツもいるから絡まれたら危ないよ」

「そっちこそだろ!」

小海は腰に手をあててムスッとした。
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