*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
『ちとせ……』
はにかむ竜憧くん。
私の名前を呼ぶ竜憧くん。
優しく仔猫を抱く竜憧くん…………。
たくさんの竜憧くんが頭にうかんで溢れてきた。頬にボッと火がつく。
「…………し、知らないっ‼」
うっかり思い出すと、こんな状況でさえも胸が甘くしめつけられて、苦しくなる…………。
会いたいよ、竜憧くん…………。
…………好きだよ、大好きなんだよ‼
ドクン、ドクン……ッ……、激しい鼓動を全身に感じていると、その鼓動に混じって、別の振動が伝わってきた。
ブゥオオォォォンッッッ──‼
「………………っ!?」
唸るようなバイクのエンジン音だ。