*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
竜憧くん、みつけた。
会えた。
…………なのに言葉が出ない。
こんなに冷たい顔の彼を見たことがなかったから。
本当にこの人竜憧くん!?……まさか別人じゃない!?
双子!?そっくりさん!?それとも多重人格だったり……!?
マンガみたいなことが、ぐるぐる頭を過る。
でも、鋭い目付きで立っていた竜憧くんの瞳が、まるで催眠から覚めるようにハッとしたのが分かる。
冷たく感情を宿さなかった瞳が、驚きでどんどん見開かれてゆく。
「……………………ちと…せ……?」
口元を覆っていたマフラーを外すと、間違いなくそう口が動いた。
"ち・と・せ"
私に気づいた?
「……ち……千歳……?…………なんで……?…………こんなとこで…………小海となにしてんの……?」
驚きと戸惑いで目が揺れている。
人格が入れ替わるように、私が知ってる竜憧くんになった。