*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
千歳の瞳から涙がぼろっと溢れた。
あとからあとから止めどなく溢れてくる。
「千歳……ごめ…………泣かないで……ッ……」
「……どうせ私なんか、いつもひとりで騒いで暴走して……バカみたい……」
凍えるように震えて泣く千歳を抱きしめたい。けどどうしてもあと数センチ、手を伸ばせない。
「そんなことないよ」
ゆうべ、あの廃屋となったスタンドになんで千歳が(しかも小海とふたりで)いたのか分からない。
千歳に気づいた瞬間は、会いた過ぎて幻でも見たのかと思ったくらいだ。
でも実像だった。
そして千歳が、総長をやってるオレを見て、明らかに"引いてる"のが分かったから。
とても"オレの女だ"なんて言えないよ。
ただでさえオレの周りは敵だらけなのに。千歳を夜の世界に巻き込みたくないんだ。