*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「…………」
けっこうまじめに心配してるのに、彼は目をパチパチさせて私と小海を交互に見た。
自分が何を言われてるのか、ぜんぜん分かってないみたいな。
本気でこの人が心配になった反面、ある考えが過った。
まさか…………もしかして、竜憧くんて、本当は魔陀羅のメンバーだったりして…………?
………………いや、まさか、ね。
だって竜憧くんは、これまで私が学校や街で見かけた不良や暴走族のイメージと"ぜんぜん違う"。
「オレは大丈夫だよ、それよりそっちが心配。あと今、大きな声で総長が嫌いとか何とか言ってたけど、………………あ、あんなこと叫んだらダメだよ…………」
なぜかうつむいて、竜憧くんは唇を噛み締めた。
でも私は、一瞬彼が悲しげな表情をしたことより、小海と似たようなことを、また注意されたことにカッとなってしまった。
なんだか胸がもやもやする。
「やっぱ竜憧くんも魔陀羅が好きなんだ。ふつうの不良と変わりないね」
「違うよ、そういう話じゃないよ!」