*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
分からない。
竜憧くんて謎。分からないことだらけ。
そしてなぜか妙に気になる。でもなんで気になるのかも分からない。なのに気になるから苛々する。
正直、イケメンてだけで、中身はふつうの男子だと思うんだ。
でも…………
そうじゃない気もする。
実はオレ人間じゃないんだ、猫の化身なんだって言われても、もしかして納得できちゃうかも。
「千歳」
無言で少し歩くと、小海は足をとめた。街灯が、チカチカ瞬きしている。
「もう学校で竜憧と関わるなよ?」
「え?」
「オレ嫌だ、何か、アイツ、嫌だ………………嫌な予感する…………何か、うまく言えないけど」
「…………」
ついさっきまで魔陀羅の幹部に会いたいとか、はしゃいでいた顔とは別人。
そう言われても、竜憧くんがとても気になる。
でも、その気持ちをうまく説明できないのは、私も同じだ。もどかしくて焦れったくて、苛々する。
心にミドラーをさして、ずっとくるくるかき混ぜてるみたいだ。
そんな私と小海を、ぽかんと空に浮いた満月が見つめていた。