*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
へこむ…………よなぁ。
オレの正体を知らないとはいえ、いつもあんなにハッキリキッパリぶった切られると…………。
ベッコベコにヘコむ。
それに千歳なら、オレが魔陀羅のリーダーだと知っても、目を反らさずまったく同じことを言う。
『暴走族なんて、一人じゃ何もできない弱い人間のやることよ。"強い"ってことの意味、はき違えてる』
千歳の瞳には、他の人間にない強い力が宿ってる。
そもそも、族なんかやってたら、一般人に嫌われるのは当たり前だ。
いや、オレらは"嫌われるべき"なんだ。
族がカッコいいなんて、本来思われるべきじゃない。
だからいいんだ、千歳にどんな言葉を浴びせられても、ムカツクとか、頭にくるって気持ちにはならない。
なぜなら千歳の言ってることは、正論だから。正しいから。
でも、正しいからこそヘコむ…………という矛盾。
驚いたことに、オレはこの数日、気づいたら千歳のことばかり考えている。
誰にも相談できない矛盾を抱え、考えれば考えるほど胸が痛いのに、気づけば考えている。
なぜだろう?