*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
今まで気づかなかったけど、オレって実はドMだったのかな?
なんて、まさか。
いっそ、オレとは住む世界が違うんだって割りきれば楽なのに。どうしても千歳の顔がまぶたにちらつく。
あの……不機嫌そうな顔が。
教室をくぐると、そっと深呼吸した。等間隔に並んだ机を縫うようにゆっくり自分の机に向かう。
隣の千歳は、すでにイスに座っている。
オレに気づかず、仲のいい怜智(さっち)と談笑していた。
まだ横顔しか見えないのに、一気に心拍数が上昇して……。
「…………ッ」
ゴクリ…………ついツバを飲みこんでしまった。
「あ、おはよ竜憧くん」
先にオレと目が合ったのは怜智だ。ふつうに挨拶してくれた。
「お。…………はよ」