*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
朝、同年代の女子に「おはよう」と声をかけてもらえることにまだ慣れない。
オレに「おはよう」なんて言ってくれる女は、駅のキヨスクのおばちゃんくらいだ。おかげで首がこそばゆく、発声がおかしくなった。
緊張をひたすら隠して、自分のイスを引くと、ゆっくり千歳が顔を向けた。
心臓が倍跳ねる。
「…………おはよう」
「あ、……あああ…………おはよ」
かつて感じたことのない電気が、ビリッと足元から脳天を突き抜けた。
なんだこれ!?急に熱い!…………暑い‼
何もしてないのに心臓は勝手に加速してゆく。
声が裏返ったせいか、オレを見つめる千歳が怪訝な顔になる。
落ち着け!ポーカーフェイスは得意だ大丈夫!
魔陀羅の総長になってからこの2年、何があっても感情を顔に出さないことには自信がある。
心臓の音がバレないよう、無言で気を引き締めた。
「あのさ、こないだの夜……」
「え"!?」
が。
あっさり声は裏返ってしまった。