*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
じっと、胸の奥を覗くようにオレを見つめる。
いつも思うけど、千歳の瞳は鋭い槍のように、強くまっすぐだ。
その前では、オレが何重にも武装した心の鎧なんか、あっけなく貫かれる。
「………………ち、違うよ。たまたま通りかかっただけだよ」
だからほらまた、チクリと、胸が痛んだ。
「ふ~~~ん?」
嘘はつきたくない。けど魔陀羅のリーダーだってことは易々と言葉にできない。
「ほんと?あの時ね、竜憧くんが急に走っていなくなった後、すっごい怖そうな人たちとすれ違ったの」
「…………!」
「小海は"もしかして魔陀羅の幹部じゃない?"とか言ってたけど…」
もしかしなくてもソイツらは魔陀羅の幹部だ。
千歳を見つけたとき、アイツらに何も説明しないでおいてきたから、オレを探していたんだろう。
でも千歳と居るところに鉢合わせして、『総長』なんて呼ばれたらまずいから、つい走っちまった。
それにアイツらには、いつも、"絶対一般人には絡むな"ってキツく言ってある。だから遭遇しても千歳たちに危険はないと判断した。