*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「探しに行ったんだよ」
すっかり頭に焼きついた千歳の眼差し。それを思い出していると、おもむろに小海が答えた。
「探し……?誰を?」
「千歳はずっとある男を探してる。族なんだ、ソイツ。でも、もういい加減忘れたらいいのに。ずっといつまでも気にして…………」
呟くようにそう言って、小海は廊下のシミをみつめた。
「気になるだろー?」
「ッ」
「聞きたいなら教えてあげよーか?千歳が不良を嫌う理由」
「いや、いい」
ホントはすごく気になるしすごく聞きたい。でも、いま小海から聞くのはなんか違う気がした。
「千歳の話は千歳から聞く」
「…………」
小海の目が鋭くなった。
「竜憧、やっぱ千歳が好きなんだ」
「……ッ」
「でも渡さねーし」
「そっちこそ付き合ってないんだろ?」
オレは立ち上がって小海に背を向けた。
「ムダだ!千歳は竜憧にはなびかないからな!」
小海の声が背中に刺さる。
そんなのはオレが一番感じてるよ。