*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
そんな可愛く"悔しいじゃん!"なんて言われても。なんて答えてよいやら。
「気のせいだって。悔しいならさっちが狙えばいいでしょ」
「そうしたいんだけどォ、私彼氏いるしィ」
「…………。(そうでした!)」
「はいっ。これせんせーから聞いた竜憧くんの住所だよ」
さっちはポケットから四つ折りのメモを取り出すと、強引に私の手に握らせる。
「ちょ、私行かないよ!?」
「すごいチャンスなのにぃ?」
「行かないってば!」
「もー、もったいないなぁ。せっかく席も隣なのに、そのアドバンテージももったいない」
「好きで隣になったんじゃないし」
「竜憧くんのこと気にならないの?」
「……ならないっ」
「風邪で死んでるかもよ?」
「んなわけないでしょ」
「金子っちから聞いたんだけど、竜憧くんて、お母さんいないんだって」
「……………………!」
このあと、メモは3回くらい私とさっちの手を往き来して、結局私の手のひらにおさまった。