*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



自分が思った以上にがっかりしてることにびっくりだ。

パンパンにふくれていた風船が萎むように、張りつめた緊張とドキドキが消えていくのが分かる。

どうしよう、これから。

ドアの隙間に『来ました』ってメモでも挟んでおく?いやいやおかしいだろ、それこそストーカー。

それにもし家族のひとに見られたら恥ずかしくて気絶するッ!

………………竜憧くんの家族。

そこまで妄想したところで、ふと思い出した。

お母さんがいないって聞いたけど、誰と暮らしてるんだろう?………お父さんはいるのかな……?

そう考えると、なんとなく竜憧くんには寂しそうな陰があるって気づいた。

「…………」

優しくはにかんだときの彼を思い出したら、また、心臓がトクトク音をたて始める。

なんなの…………私…………なんかおかしいよ…………。
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