未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
「これ見て」


そう言って、斎藤さんは茶封筒に入ってた紙を私に見せた。



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うちの子猫ちゃん、可愛いだろ?
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「何ですかこれ!」


何なの、このふざけた内容は!
子猫ちゃんって私のこと⁉︎

というか、書類ってこれ……⁇


「だから“やられた”って言ったでしょ。平野君、男女問わず可愛い後輩見つけるとすぐからかうのよ」


絶対に怪しい、あれは演技だって思ったけど、仕事中に課長が部下で遊ぶわけない。
だからこの書類はちゃんと仕事関係のものだって信じてたのに。

まさかこれまで嘘だったなんて。


「ごめんね。同期として代わりに謝るわ」

「いえ、斎藤さんが謝ることでは」


課長と斎藤さんは同期なんだ。

だから斎藤さんもこうやって遊びに付き合わされるわけね……


「何人かは可愛い後輩がいるって話を聞いたことあるけど、私のとこにこうして寄越したのは二人目ね」

「そうなんですか?」

「もう一人は葉山君よ。一課にいるでしょう?」

「はい」


やっぱり。何となくそんな気はしてたけど。
葉山も苦労してるんだな。

可哀想…と苦笑いしていると、隣りの会議室のドアががちゃりと開いた。


「あら、噂をすれば葉山君」

「お疲れ様です……って、あやっ……西條⁇」


葉山は私を見て目を見開く。
私がここにいることに相当困惑してるみたいだ。


「平野君よ」


斎藤さんはそれだけしか言わなかったのに、葉山は理解したのか「ああ…」と失笑。

「御愁傷様」と私を見て笑った。


ドキッと心臓が跳ねる。

まただ。
葉山の笑顔を見る度に心臓が反応する。


違う。これは恋じゃない。
突然好きだった憧れの先輩と再会して、心がパニクってるだけ。




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