未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
「は、葉山……?」


いつまでこうしてるの……


葉山の肩に顎を乗せるように抱き寄せられて私の身体はカッチカチに固まったまま、心臓だけが早く動いているこの状況。


「もう…大丈夫、だよ?」


早く離してほしい。

嬉しくないと言えば嘘になる。

理由が隠れるためとはいえ、葉山に抱き締められるのは嬉しいけど、これ以上は無理だ。

恥ずかしすぎて失神しそう……


だけど、葉山は離すどころか、私を抱き締める力を強めた。

葉山の大きな手が私の髪を梳く。
腰を引き寄せ、額に前髪越しで葉山の唇が当たった。


「っっ!あ、あの……っ」


ビックリして咄嗟にヒャッ!と首を竦める。

い、いいい、今のって…キス…っ?

え?なんで?どうして⁈
今のは事故?それとも故意⁉︎

ううん、故意なわけない。
だって葉山は私のこと嫌いになったはずだもん。

頭がパニックを起こし、言葉が上手く出てこない。

私の小学生レベルの頭にはわからないことだらけだ。


「今の話、本当?」


葉山の声が頭上から聞こえる。

今の話って…なんだろう。

もしかして、私が葉山を好きっていうやつ……?


「えっと…」


一難去ってまた一難。

どうしようっ…
どうやって切り抜けたらいい⁉︎

ここで認めたら告白になっちゃう。
嫌われてるってわかってるのに告白なんて出来ない。


「俺の勘違いだった?」


何も答えられずにいると葉山はそう言って私を離し、有ろう事か私の顔を覗き込んだ。


鼻先が触れそうなぐらい近い距離に息を飲む。

何も考えられない……

瞬きも、呼吸すら出来ない。



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