未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
「ん?何か入ってる」


翌日の放課後。
下駄箱で上履きを履き替えていると、靴の中でカサッと音がした。

中に入っていたのは小さく折られた手紙。


「これって…まさかっ…!!」


葉山からの手紙⁉︎

嘘みたい、まさかこんなに早くくれるなんて。


口をポカンと開けたまま、手紙を穴が開くぐらいじっと見つめる。

何度瞬きしても、頬をつまんでみても、手の中にある手紙はなくならない。


夢じゃない。
本当に葉山からの手紙が届いたんだ。


どうやって、どのタイミングで渡されるのか緊張してたけど、まさか下駄箱に入ってるなんて思いもしなかった。

私のちょっとした憧れは、すれ違いざまに渡すとか秘密の場所を作るとか、そんな漫画チックなことだったけど。


「下駄箱ポスト、か」


かなり素敵!青春っぽい‼︎


夕焼けに染められた放課後。
白い光が眩しい早朝。
笑い声が絶えない昼休み。

昇降口に誰もいない時間を狙って、誰かに見られてないか辺りを気にしながら相手の下駄箱に手紙を入れる。

送った後は返事が来てないか靴を履くたびにドキドキしながら中を確認して、手紙がないとガッカリはするだろうけどそれもまた文通の醍醐味。

凄くロマンチックだ。
想像しただけで胸が弾む。


「何それ。手紙?」


花梨の声にハッとして、手紙を素早くポケットに入れる。


「何でもないよ」

「何でもない顔じゃないんだけど」


ゔ……鋭い。

私なりに精一杯普通にしたつもりなのに、いつも花梨は私のこと何でもお見通しなんだ。


「ラブレターとか?」

「ラ、ラブレターじゃないっ‼︎断じて違うから‼︎」

「じゃあ何?まさか私に隠し事?綾音が私に?」







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