未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
あからさまにショボンと肩を落とすと、花梨は呆れたと言わんばかりにため息を漏らした。


「少し会えなかったからってテンション下がり過ぎ」

「少しじゃない!もう一ヶ月と12日も会ってないし!」

「細かっ!まさか葉山と会えなかった日数えてんの⁉︎」

「会えなかった日じゃなくて、会えた日に印付けてたの!」


葉山は私より二学年上だ。

そのため葉山が小学校を卒業してからというもの、全く会えなくなってしまった。

会えるのは月に一、二回程度。
会えたら手帳にハートマークを書いて、葉山の事を思い出してた。

私の手帳はスケジュールを書くものじゃなくて葉山専用。

でも、毎日手帳を開いてハートマークを数える日々はもう今日で終わり。

これからは葉山に毎日会える!
わざわざ手帳にハートマークを書かなくても、会えた日を数えなくてもいいんだ。


だけど、毎日会えるのは葉山が卒業するまでの一年間というリミット付き。

それなら何がなんでも毎日会いたい!

一日でも惜しいのに……っ!


「葉山に…会いたいよぉ……」


葉山欠乏症だ。
だいぶ前からそうだったけど、もう限界。

葉山が足りない足りない足りない足りなーいっ‼︎‼︎


はぁっ、と盛大にため息を吐いた時。


「誰に会いたいって?」


ずっと会いたかった人の声が聞こえてピタリと足を止めた。

胸がドキリと高鳴る。


今の声って…まさか……葉山…?


スローモーションのように、ゆっくりと振り返った。


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