未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
「噂が本当なのかはわからないけど、部長の気持ちはわかったよ」


体育館から笛の音が聞こえる。
練習再開の合図だ。


「ま、部長が誰を好きなのか関係ないけど。俺は諦め悪いから」


細井はそう言い残し、走って体育館に戻っていく。

だけど、地に根が張ったように私の足は動かない。


細井の言葉がぐるぐる頭の中を掻き乱す。


信じたくなかった。
葉山がそんなことをするなんて思いたくなかった。

だって、それって私の気持ちどころか渡先輩の気持ちも弄んで、弄ぶどころか踏みにじる行為でしょう?

そんな最低なこと、まさかあの葉山がするなんて……


葉山はいつでも誰に対しても誠実で真っ直ぐで。

だからこそ皆に慕われて。

私もそういう所が大好きで……


本当かどうかわからない。

信じないと思ってもショックは隠しきれなくて、私はモヤモヤしたままその日を過ごした。







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