未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
葉山の下駄箱の前に立つのはいつ振りだろう。
三年生が修学旅行から帰ってきてから一週間後の今日。
“ありがとう”と“さようなら”を告げる手紙を送ることに決めた。
これが最後。
私なりのけじめの手紙だ。
いつもと同じように、葉山の上履きの中に手紙を入れる。
いつもと違うのは、可愛いメモ帳じゃなくノートの切れ端に書いた質素な手紙ということ。
もう飾る必要はない。
華やかなペンも紙もお別れの手紙には不釣り合いなだけ。
鼓動が速い。手に汗が滲む。
それなりに緊張してるんだと思う。
告白するわけでもなければこの手紙の返事が来るわけでもないのに、なんでこんなにドキドキするのか自分でもよくわからない。
ただ、この手紙を読んで葉山はどう思うのか。
そればっかり考えてしまう。
「綾音、人来るよ」
「うん……」
今までありがとう。大好きでした。
下駄箱に貼ってある葉山の名前を見つめながら、そう胸の中で言った。
「頑張ったね」
花梨は私の頭を撫でながら切なげに微笑む。
コクリと頷いた私の目尻には微かに涙が滲んだ。
多くを語らないこの一言が胸に沁みた。
ずっと隣りで支えてくれた花梨だからこその言葉と重み。
傷付いた心が癒えていく。
そんな感じがした。
「本当に下駄箱に入れて大丈夫?」
「大丈夫」
手紙を渡先輩に抜き取られることはもうないと思う。
この前見た先輩の涙を私は信じてるから。
それは一昨日の放課後に遡る。
三年生が修学旅行から帰ってきてから一週間後の今日。
“ありがとう”と“さようなら”を告げる手紙を送ることに決めた。
これが最後。
私なりのけじめの手紙だ。
いつもと同じように、葉山の上履きの中に手紙を入れる。
いつもと違うのは、可愛いメモ帳じゃなくノートの切れ端に書いた質素な手紙ということ。
もう飾る必要はない。
華やかなペンも紙もお別れの手紙には不釣り合いなだけ。
鼓動が速い。手に汗が滲む。
それなりに緊張してるんだと思う。
告白するわけでもなければこの手紙の返事が来るわけでもないのに、なんでこんなにドキドキするのか自分でもよくわからない。
ただ、この手紙を読んで葉山はどう思うのか。
そればっかり考えてしまう。
「綾音、人来るよ」
「うん……」
今までありがとう。大好きでした。
下駄箱に貼ってある葉山の名前を見つめながら、そう胸の中で言った。
「頑張ったね」
花梨は私の頭を撫でながら切なげに微笑む。
コクリと頷いた私の目尻には微かに涙が滲んだ。
多くを語らないこの一言が胸に沁みた。
ずっと隣りで支えてくれた花梨だからこその言葉と重み。
傷付いた心が癒えていく。
そんな感じがした。
「本当に下駄箱に入れて大丈夫?」
「大丈夫」
手紙を渡先輩に抜き取られることはもうないと思う。
この前見た先輩の涙を私は信じてるから。
それは一昨日の放課後に遡る。