未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
「葉山だ……」


目の前には、何だかいつもとは違う雰囲気の葉山がクスクス笑いながら「よおっ!」と片手を挙げている。


本当に?ホントにホントに葉山なの?

いやね、どこが違うのか聞かれたらハッキリとは答えられない。

髪型も体型も、声も顔も、全部葉山大輝本人だ。


少し茶色の柔らかい髪。

中学生になってからキチンと整えるようになった眉。

キリッとした目。バサバサの睫毛。

目鼻立ちが整った顔は隣りに並ぶのを躊躇うぐらい小さく、身長は175センチ以上はあると思う。

足はコンパスのように長い。
細身なのに筋肉はしっかりとついてる。


誰から見ても格好良くて、性格、運動神経、頭脳全て良し!

昔から老若男女問わず人気者で、私の大好きな人。


なのに何故だろう。

久しぶりに会ったせいかな……

葉山がいつもの数倍…数百倍も格好良く見える。

まだクラス発表を見てはしゃいでいる同級生の男子とは天と地ほど違う。

落ち着いてて、大人な空気感があって……


ヤバい…これはまじでヤバいよ……

惚れ直したなんてもんじゃない。
眩しすぎて頭がクラクラする。


「綾音は相変わらず元気だな」

「なんで?どうしてここに?」


まさか葉山も私に会いたかったの?

居ても立っても居られなくてホームルームをサボって来てくれたとか?


「ああ、俺新入生の誘導係」


そう言って、葉山は【誘導係】の腕章を私に見せた。


ああ……誘導係、ね。

そうだよね、あの真面目な葉山がサボって来るはずないし。


それでも会いたかった葉山に会えて、凄く凄くすごーく嬉しい!

さっきまでの落ち込みようが嘘みたいに心が跳ねた。



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