未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
悠長なことを言ってるつもりなんてない
だけど、その通りなのかもしれない。

今回のことでよくわかったけど、恋愛にルールなんて存在しない。

どんな手を使っても、最後は手に入れたもん勝ち。

正々堂々と勝負したからといって報われるわけでもなければ、反則行為をしたからといって負けるわけでもない。

これはスポーツじゃないんだから。


「そうかもしれません……でも、私は卑怯なことして勝ち取ったって幸せにはなれないと思うんです。自分なりに正々堂々、精一杯頑張りたい。それで駄目でも悔いはないし、良ければ何倍も嬉しいし幸せになれると思います」


ズルして葉山と付き合えることになったって、絶対嬉しくない。

そんなことして手に入れた幸せは長くは続かないし、後で絶対後悔するはず。


「渡先輩は今幸せですか?」


渡先輩は私の言葉を聞いて目を見開いた。

そして下唇をグッと噛み締めると、大きな瞳から光る雫が落ちた。


「大輝のこと、一年の時からずっと好きだった。太陽みたいに眩しくて、優しくて面白くて。その人柄にどんどん惹かれてった。でも大輝はモテる。せっかく良い位置で友達になれたのに振られたら終わっちゃう。それが怖くてずっと告白なんて出来なかった」


ぐすっと鼻を啜る先輩。

痛いぐらい気持ちがわかって、私まで胸が切なさでいっぱいになる。


「大輝は告白されても誰とも付き合わなかった。好きな人がいるとか噂も聞いたことなかったし、ただ単に今は恋愛より部活が大事なのかなって軽く考えてた。でも、それは大きな間違いだって……綾音ちゃんが入学してきて気付いたの」

「え……私?」

「一年からずっと見てきたんだもん。大輝が誰を好きかなんて簡単にわかったわ」



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