未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
◇◇
手紙を机に広げたまま、酔いを覚まそうとベランダに出る。
星が綺麗……
都会でもこんなに星が見えること、最近は忙しすぎてすっかり忘れてた。
それこそ学生の頃はよく空を眺めたりしてたのに、いつから見なくなったんだろう。
火照った頬に冷たい風が当たる。
気持ち良い。
湿った心がすっきりしていくようだ。
「ん?電話?」
澄んだ空気を吸い込んでいると、部屋の中から着信音が聞こえた。
すぐに戻ってスマホを手に取ると、相手を確認して通話ボタンを押した。
「もしもし?」
電話口から聞こえた声に、嬉しさで胸がいっぱいになる。
声を聞くのはいつ振りだろう。
事務の私とは違って、会社の花形でもある営業部の彼は最近忙しい。
最近、デートをしたのはプロポーズをされた二週間前。
電話は三日振りぐらいだ。
そんなに久しぶりなわけじゃないのに凄く懐かしいような気がするのは、さっき過去の手紙を読んだからかもしれない。
「今週の日曜日に連れてくってちゃんと伝えてあるから」
今週の日曜日、いよいよ私の両親に挨拶に行く。
これまで何度かお互いの実家でご飯を食べたりして交流はあったけど、いざ結婚の挨拶となると緊張が半端ない。
営業成績上位、会社に期待されてる彼でも、今回ばかりはプレッシャーなようだ。
「大丈夫?明日大事な商談があるんでしょ?」
「ヤバいかもな」と電話口で笑う彼。
でも、知ってる。
仕事のスイッチが入った彼の集中力は本当に凄い。
それは仕事に限らず、何に対しても。昔から変わらない。
「じゃあ、おやすみ。綾音」と、優しい声が鼓膜をくすぐる。
やっぱり好きだな、この声。
「おやすみ」
まだ声を聞いていたいけど仕方ない。
惜しむように電話を切ると、私は机に出しっ放しの最後の一通を手に取った。
◇◇
手紙を机に広げたまま、酔いを覚まそうとベランダに出る。
星が綺麗……
都会でもこんなに星が見えること、最近は忙しすぎてすっかり忘れてた。
それこそ学生の頃はよく空を眺めたりしてたのに、いつから見なくなったんだろう。
火照った頬に冷たい風が当たる。
気持ち良い。
湿った心がすっきりしていくようだ。
「ん?電話?」
澄んだ空気を吸い込んでいると、部屋の中から着信音が聞こえた。
すぐに戻ってスマホを手に取ると、相手を確認して通話ボタンを押した。
「もしもし?」
電話口から聞こえた声に、嬉しさで胸がいっぱいになる。
声を聞くのはいつ振りだろう。
事務の私とは違って、会社の花形でもある営業部の彼は最近忙しい。
最近、デートをしたのはプロポーズをされた二週間前。
電話は三日振りぐらいだ。
そんなに久しぶりなわけじゃないのに凄く懐かしいような気がするのは、さっき過去の手紙を読んだからかもしれない。
「今週の日曜日に連れてくってちゃんと伝えてあるから」
今週の日曜日、いよいよ私の両親に挨拶に行く。
これまで何度かお互いの実家でご飯を食べたりして交流はあったけど、いざ結婚の挨拶となると緊張が半端ない。
営業成績上位、会社に期待されてる彼でも、今回ばかりはプレッシャーなようだ。
「大丈夫?明日大事な商談があるんでしょ?」
「ヤバいかもな」と電話口で笑う彼。
でも、知ってる。
仕事のスイッチが入った彼の集中力は本当に凄い。
それは仕事に限らず、何に対しても。昔から変わらない。
「じゃあ、おやすみ。綾音」と、優しい声が鼓膜をくすぐる。
やっぱり好きだな、この声。
「おやすみ」
まだ声を聞いていたいけど仕方ない。
惜しむように電話を切ると、私は机に出しっ放しの最後の一通を手に取った。
◇◇