狼少年、拾いました。
「な、何!?」

「何ってお前も来るんだよ!罪人の俺をかくまったんだからな!お前も殺されちまうぞ!」

「何だと!?」

「どういうこと!?」

声を張り上げたスティーヌとミェルナだが、それに構わずレスクは顎を上げてくんくんと鼻を動かした。

「匂いが近づいてる。いいから早く!」

レスクは未だ荒い息のミェルナを引き摺るように走り出した。




ミェルナたちは這い出でるように川岸へ出た。

(もう家には帰れないの……?ゼーラはレスクの姿を見たの……?嘘をつかなかったら、ゼーラはわたしのことをあんな目で見なかったのかしら……?)

体力の限界を超えて走っているからか、ミェルナの思考はおかしな方向に研ぎ澄まされ、様々な疑問が脈絡もなく次々と浮かび上がってくる。

流れる水の音が耳に張り付くようだ。

「おい、大丈夫か?」

限界の限界がやってきたようで、ミェルナはしゃがみこんでしまった。
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