狼少年、拾いました。
真っ黒な髪に、琥珀色の目をしたこの少年を見て、状況の全てがミェルナの頭にドッと流れ込んできた。

「レスク!」

「飛び起きれるんなら平気だな。」

無事だったという安堵から、色々大事なことを黙っていたなこの野郎、まで、色んな感情が混じった複雑な表情のミェルナを見て気まずそうに焚き火に枝をくべるレスク。

「ひとまず、無事でよかったわ。怪我はないの?」

ため息で一旦気持ちを整理してからミェルナが尋ねると、レスクは肩をすくめた。

「あんたのお守り役のお陰で、何ともないぜ。すごいんだな、お前。身体があんな風に動けるなんて知らなかった。」

スティーヌがレスクに乗り移って事なきを得たのだろうが、お守り役と言われた本人(?)はあくまでも不本意だと言わんばかりに黙って魚を枝にさしている。

「あんたほんとに人が良いんだな。俺のせいで村にも帰れなくなっちまったってのに、心配してくれるなんてな。」

「言いたいことは沢山あるけど?こんなこと初めてだから混乱してるのよ。」

「言いたいことって例えばなんだよ。」
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