狼少年、拾いました。
 恐る恐る近付いてみる。

 「どうした?」

 後ろから付いてくるスティーヌ。

 近くに寄って見ると、それはいつか本で見たような刃物の先だった。

 縁は薄く鋭利で、下手に触れたら指が切れてしまいそうだ。

 それにかなり大きい。

 自分の手のひら程もある刃物など見るのは初めてだった。

 「物騒なものが落ちているな。」

 その刃先にはところどころ赤黒いシミがこびりつき、その上には蟻がたかっている。

 「血が、付いてるわ。」

 何か……いやもしかしたら誰かを斬った証拠だ。

 「匂いからして人間の血だな。」
< 18 / 114 >

この作品をシェア

pagetop