狼少年、拾いました。
(夢…見てるのか?)
自分はまだ死んでいないのか。
それともこれがあの世というものなのか。
まだ、このおぞましい肉体と一緒にいなければならないのか。
それとも、もう解放されたのか。
夢も現も、生も死も分からぬまま、意識は再び闇に飲み込まれていった。
* * *
ようやく自分のあの丸太小屋が見えてきた。
息を切らして歩きながらほっと胸を撫で下ろす。
体を無理に動かしたせいなのか、さっきよりも怪我人の容態は悪くなっているようだった。
普段は何気なく聴いている小鳥の声が今は急かしているように感じる。
「後ろのあの木の根本にとりあえず寝かすわ。必要なものを取ってくるから、その間この人をお願いね。」
スティーヌは答えなかった。
顔を横に向けて彼の様子を伺おうとしたが、怪我人を背負って歩くのに精一杯だった。
「どうし__。」
言いかけたミェルナをさっと手で制止するスティーヌ。
「何か来る。」
口調こそ変わらないものの、その言い方にはいつもとは違う何かがあり、ミェルナは眉をひそめた。
「何が?」
「分からない。だが少なくともヒトやケモノではない。」
スティーヌがそう言い終わるか否やのそのとき、せわしなく鳴いていた小鳥たちがピタッと黙った。
風の音がうなるように大きくなり、ざわざわと木も草も、藪も震えた。
自分はまだ死んでいないのか。
それともこれがあの世というものなのか。
まだ、このおぞましい肉体と一緒にいなければならないのか。
それとも、もう解放されたのか。
夢も現も、生も死も分からぬまま、意識は再び闇に飲み込まれていった。
* * *
ようやく自分のあの丸太小屋が見えてきた。
息を切らして歩きながらほっと胸を撫で下ろす。
体を無理に動かしたせいなのか、さっきよりも怪我人の容態は悪くなっているようだった。
普段は何気なく聴いている小鳥の声が今は急かしているように感じる。
「後ろのあの木の根本にとりあえず寝かすわ。必要なものを取ってくるから、その間この人をお願いね。」
スティーヌは答えなかった。
顔を横に向けて彼の様子を伺おうとしたが、怪我人を背負って歩くのに精一杯だった。
「どうし__。」
言いかけたミェルナをさっと手で制止するスティーヌ。
「何か来る。」
口調こそ変わらないものの、その言い方にはいつもとは違う何かがあり、ミェルナは眉をひそめた。
「何が?」
「分からない。だが少なくともヒトやケモノではない。」
スティーヌがそう言い終わるか否やのそのとき、せわしなく鳴いていた小鳥たちがピタッと黙った。
風の音がうなるように大きくなり、ざわざわと木も草も、藪も震えた。