狼少年、拾いました。
 自分の命の次に大切な剣を探して目を巡らせたがそれらしきものは見当たらない。

 (仕方ないな。それにしてもここは……。)

狭い丸太小屋だ。

 低い天井の梁からは薬草がぶら下がり、小さな窓から吹いてくる風に揺れている。

 陽の差し方からして昼過ぎくらいか。

 自分が横たわっているものに手を触れる。

 感触からして寝具のようだ。

 手のひらを顔の上にかざすと、お世辞にも上手とは言えないが白くて柔らかい包帯が巻かれていた。 

 「気が付いたか。」 

 突然頭の上から声が降ってきた。
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