狼少年、拾いました。
 「……すまん。…ここはどこだ?」

 声を小さくして言い直す。

 その様子を見て根本から悪い人間ではないようだとスティーヌは少しだけ安心する。

 しかし少年が目を覚ましたときからずっと彼の目が気になっていた。

 (この瞳……。)

 だがそれはおくびにも出さずに口を開いた。

目の色など二の次だ。

 「質問に答える前に言いたいことがある。」

 もう一度振り替えって少女が眠っているかどうか確認してから、スティーヌは用心深くもっと声をひそめた。

 「この子には私の正体は教えていない。私が分影子だということは黙っていてくれ。」
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