狼少年、拾いました。
 マルナの質問にプベルトは少し間を置いて答えた。

 「…いや、狩りは早めに切り上げて手伝いに来たんだよ。」

 嘘をついている。

 直感でそう思った。

 (森の中……。大丈夫よね、ちゃんと言っておいたんだし。)

 村の男の子たちが森の奥にずっと一人で住んでいる黒い目の少女__つまりミェルナのことを興味津々な様子で噂しているのを、この間から何度か小耳に挟んでいた。

 やはりプベルトも彼女に惹かれているのだろうか。

 (まぁでも物珍しさよね。) 

 「そういやさ、薬師の子ってどんな子?」

 何気ない風を装っているが、かなり興味はあるようだ。

根拠はないがゼーラはそう思った。

 先に質問に答えたのはマルナの方だった。

 「さぁ…私はあんまり話さないから分からないわ。ゼーラは?」

 「私もよ。あっ、プベルト。肩に花びらが付いてるわ。」

 白い指で想い人の肩についた白い花弁をさっと払った。

「おお、ありがとう。」

「この花何か知ってる?」

「これは結婚式の時の冠に使ったやつだよ。俺のシャナ姉さんもこの花を使ってたなぁ。」

「きれいだったわねぇ、シャナ。」

 彼の後ろを歩きながら明るく談笑ながら、その逞しい肩に残ったねばっこい花粉をゼーラはじっと見つめていた。
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