狼少年、拾いました。
 「元気してた?」

 「うん。ゼーラは?」

 「わたしも元気よ。あ、昨日虹出てたの知ってる?」

 「そうなの?知らなかった!」

 「久しぶりに見たらやっぱりキレイだったわ。…本、貸してくれてありがとうね。こっそり読んでるからなかなか進まないけどすごく面白いわ。」

 急かすこともなく、ただ他愛ない話をしてくれる。

 それがミェルナにはとってもありがたかった。

 「どこまで読んだの?」

 「主人公が盗賊に襲われて、人狼の男の子に助けられるところまでよ。」

 「あそこドキドキするわよね!ものすごく展開が急だけど、それがまた面白いわ。」

 「…ほんとにいるのかしら、狼人間って。東の森の奥にいるって長老が言ってたけど、怪しいもんだわ。」

 「ほんとにねぇ。いるなら会ってみたいわ。…あ、そこ寒くない?そこね、なんだか冷えるの。」

 「男の子たち、来た?」
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