狼少年、拾いました。
 「なあに?」

 少し気まずそうに手を合わせるゼーラ。

 「プベルトっていう子とね、その…話さないでほしいの。」

 「え……?」

 話すな、目を合わせるな、関わるな。

 今まで何度か耳にしていた言葉に、心臓がぎゅっと縮こまった気がした。

 __黒目の子だ!

 __話しちゃだめだよ、魂を吸われちゃうって母さんが言ってたから!

 みるみるうちに顔を曇らせてしまったミェルナを見て、慌ててゼーラは白い手を振った。

 「そうじゃなくて!あの、実は、ね……プベルトのことが…好きなの。だからボロを出したくないから話さないでほしいのよ。私がよく転ぶとか、小さい頃は鼻水垂らしてたとかね!」

 思ってもいなかった反応で先程よりも戸惑いは大きくなったが、心臓はいつも通りの脈を取り戻していた。

 「そういうこと?びっくりしたわ……。分かった。……ふふ、懐かしいね。そう言えば鼻水出てた。」

 「もう、言わないでよ!ミェルナの恥ずかしい思い出だって私は覚えてるんだからね!あえて言わないだけで。」

 ミェルナは声を押し殺すように、ゼーラは高らかに笑った。

 「で、どんな人なの?プベルトって。」
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