狼少年、拾いました。
 町の西側を調べていた部下のパルが戻ってきた。

 隠していはいるが、休みたそうな様子がその目の顔色に滲み出ているの部下。

 口調にはあらわれていないが、報告しながらちらちらと宿屋の方を見ている。

 「まだこの近くにいるかもしれん。匿われている可能性もある。」

 まだ休息は遠そうだと悟った部下は肩を落とす。

 「隊長。ほんとうにあいつがあのようなことをしでかす輩だとお思いなのですか。ていうか僕疲れまし__」

 「無駄な口は慎め。」

 「なんですか、隊長だって疲れてるでしょ、さっきから体重かける足入れ換えてるでしょ。」

 部下のぼやきには答えず、少し遠くにある反物を売っている店を黙って示した。
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