あと1秒だけ、ボクの隣で。
「三年間、一緒にいてくれてありがとう。
喧嘩も、仲直りもありがとう。
私のおふざけにも、付き合ってくれてありがとう。
それから…私と一緒にいたいって言ってくれてありがとう」
「……」
喉の奥にこみ上げてくるのに言葉にすることができなくて、僕はふるふると首を横に振った。
「葉くん、大好き」
もう、我慢をすることができなかった。
僕は可奈子の細い腕を掴んで抱き寄せた。
「僕も…大好きだ」
「…へへ、照れる」
「真面目に言ってんだからな」
「分かってるよ。ちゃんと、伝わってる」
可奈子も僕の背中に手を這わせて、首筋にスリスリと擦り寄ってきた。
可奈子は幽霊なのに温かくて、甘い香りがした。
肌も髪も柔らかくて、まるで生きているようだ。
ちゃんと鼓動の音も聞こえてくる。