あと1秒だけ、ボクの隣で。
「葉くんと一緒にいられて幸せだった。
この三年間、たとえ私がこのまま消えて生まれ変わっても、絶対に覚えてるから」
「僕も、覚えてる。
死んでからのことにはさすがに自信はないけど…。
でも、生きているうちは、どんなに歳をとっても忘れないから」
「そこは嘘でもカッコつけて死んでも忘れないとか言ってよ」
「無理だよ。僕は嘘はつかない主義なんだ」
「ケチ。でも、大好き」
「何回も聞いてるよ」
「何回も言うの。
葉くんが忘れられないように。
私これでも結構嫉妬深いんだから。
それに執念深いし、わがままなの」
「うん、知ってるよ」
「そっか」
僕達は、過ぎる時間を惜しむように言葉を並べ立てた。
抱きついた腕を離さないまま。
お互いに顔は見えないはずなのに、彼女のクルクルと変わる一つ一つの表情がまるで目の前にあるかのように僕の目に焼き付いている。