あと1秒だけ、ボクの隣で。
最初の頃は面倒で付き纏われるのが迷惑でしかなかった。
だから喧嘩もした。
酷い言葉を可奈子に浴びせたこともある。
だけど可奈子は泣かなかった。
ただ静かに、語ってくれた。
『私が生きていた頃、ずっと学校に行きたかった。
だけど体が弱くて、病院に縛り付けられていたんだ』と。
それから僕達は仲直りをして、少しずつ、少しずつ、時間を過ごしていった。
時に可奈子に振り回されたり、逆に可奈子を振り回してやったり。
ぶつかったり怒鳴ったりして口も聞かない時期があって。
また、仲直りして。
その度に、可奈子の笑顔が増えていった。
それが僕にとって、ちょっとした喜びだった。