あと1秒だけ、ボクの隣で。



だけど僕達は少しずつ時間を重ねていくと同時にお別れに近づいていった。


だからこそなのか、可奈子も僕も泣き言や終わる頃の話は一切せずに毎日を過ごした。


特別なことは何もしていない。


つまんないくらい平凡な一日は数えきれないほどあった。


行事が始まれば誰よりも可奈子がやる気満々で、僕はそんな可奈子に振り回されっぱなしだった。


いい思い出だけではないし、忘れてしまいたいと思ったこともある。


けれど、長いようで短い三年間が終わった今、僕にとってそのどれもが忘れられないかけがえのないものだと気がついたんだ。



可奈子がふざけて
可奈子が怒って
可奈子が笑って、笑って笑って…。


そして、僕がいた。
その隣に、いつも、僕がいた。



今、こんなにも僕の中にこみ上げてくる思いは何なんだろう。


彼女と離れるのが寂しいから?悲しいから?


今、この瞬間も、目の前で笑う幽霊の可奈子を手放したくないから?



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